Interview 事例紹介
Vol.1
農事組合法人 川根美味しいたけ
-来るものは拒まず-
川根茶で有名な川根本町の農業法人「川根美味しいたけ」で働く台湾出身のS・Sさん。2025年4月の入社以来、工場や農園の管理など、茶の生産・加工事業に従事し、元気で明るい性格から、法人スタッフ間だけでなく、地域にもすぐに溶け込んだという。彼女は初めて訪れたこの町で、どのように新しい仕事に取組み、受け入れる側はどんな工夫を凝らして迎え入れたのだろうかー。
(インタビュー実施日:2025年11月11日)
外国人材を採用しようとしたきっかけは?
川根本町の高齢化率は50%を超え、特産品の茶業の担い手も人手不足です。我々も、事業を拡大していく中で、日本人、外国人問わず、「来るものは拒まず」の考えで採用してきました。これまでワーキングホリデーを中心に、10人ほど外国人材を雇用しています。短期間の就労であっても大事な戦力になっています。求人は公式HP以外に、「ボラバイト」(https://www.volubeit.com/)というインターネット求人サイトに掲載しています。
Sさんの採用の決め手は?
明るくて日本語もでき、運転免許証を持っていたことが大きかったです。農場と工場を頻繁に移動する仕事内容や、中山間地という地域特性から、車の運転は必須とは言いませんが、重要です。彼女はコミュニケーション能力が高く、スタッフとも打ち解けていますし、事務仕事やデジタル機器の扱いにも慣れているので、助かっています。インスタグラムなどSNSを使った情報発信も得意なので、広報の仕事も任せたいと考えています。
外国人人材の受入・定着で工夫している点は?
受け入れる側の在籍スタッフと新しいスタッフの間で、誤解からトラブルが生じないように、就業規則や仕事内容のマニュアルをわかりやすく整備し直しました。彼女は日本語能力試験の「N2」の資格を持っているので、仕事をする上でコミュニケーションに困ることはほとんどありません。ただ、機械の操作など専門用語などでわからないことがあれば間に入りますし、生活面でも暮らしやすいようにサポートしています。ワーキングホリデーから特定技能に切り替える手続きを進めていますが、関係機関に提出する書類の作成も一緒に行っています。県外から移住してくる従業員の住居については、川根本町の「空き家バンク」などを活用して、町内の空き家を紹介しています。
「川根美味しいたけ」で働くことのやりがいや地域の魅力について教えてください。
雄大な自然の中で特産の川根茶の生産に携われます。農事組合法人として福利厚生や就業規則も整っているので、働きやすい環境です。県外出身者の中には、町が気に入って移住した人も何人かいます。
他の企業や団体にアドバイスがあれば教えてください。
どんな仕事を担当してもらうのか、良いところも大変なところも事前にきちんと説明し、双方納得した上で来てもらうと、長続きすると思います。遠方に在住している場合は電話やオンラインでの面接になるかもしれませんが、入社前のすり合わせがとても大事です。また就労資格や就業規則でわからないことがあったら、専門的な知識を持った県や町の相談窓口を利用し、就職支援員にアドバイスをもらってください。親身になって相談に乗ってくれると思います。
外国人人材採用の
4つのポイント
- 丁寧な事前の面談で採用時のミスマッチを防ぐ
- 就業規則やマニュアルをわかりやすく整備してスタッフ間のトラブルを防止
- 移住者向けの「空き家バンク」などを案内して生活面をサポート
- 就労資格や就業規則でわからないことは行政の相談窓口で専門家に相談
外国人材インタビューS・Sさん(30代、台湾出身)
どんなきっかけで「川根美味しいたけ」の求人に応募しましたか?
2024年にワーキングホリデーのビザで来日してから京都市内の宿泊施設などで働いていたんですが、ずっと日本茶の仕事に憧れていました。インターネットの求人サイトで「川根美味しいたけ」の求人をみつけて、「これだ!」と思って応募しました。
ここではどんな仕事をしていますか?
主な仕事は茶畑と茶工場の管理補助です。茶畑では収穫の手伝いをしたり肥料や農薬をまいたりしています。茶工場の仕事は、清掃と機械の簡単なメンテナンスです。国際免許証を持っているので、トラックを運転して農機具を積んで農場や工場を移動しています。
仕事はどのようにして覚えていますか?
周りの人たちの仕事を隣で見て覚えています。わからないことがあれば、代表や周りの人に質問して、ノートにメモをとって覚えています。
周りのスタッフとどんなアドバイスをもらっていますか?
みなさんとてもやさしいです。一人ではできない力仕事は手伝ってもらっています。仕事以外でも食事や普段の生活についてアドバイスしてくれます。
普段の生活で息抜きはありますか?
この前の休日は、箱根に旅行しました。川根本町は自然が豊かなので、都会よりも落ち着くことができて、ほっとできます。夜はネットで配信されている日本や台湾のドラマなどを見ています。
将来の目標はありますか?
台湾の大学では、日本語を学んでいました。日本語能力試験の「N2」も持っているので、特定技能の在留資格をとって、より長く働くつもりです。仕事をきちんと覚えて、お茶に関わる仕事に携わりたいです。
農事組合法人 川根美味しいたけ
| 代表 | 西原 睦実 |
|---|---|
| 住所 | 川根本町地名1669-1 |
| 業種 | 農林業 |
| 事業内容 | ①茶の栽培(JGAP有機認証) ②加工(荒茶製造ライン120k 2ライン) ③シイタケ等の菌床栽培(115万床) |
| 従業員数 | 38名(うち外国人人材1名) |