導入ガイド

在留資格について

「出入国管理及び難民認定法」とは

我が国に出入国し、在留するすべての外国人は「出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といいます)」に基づいて、公正な管理が図られています。
外国人が、それぞれの活動に必要となる「在留資格」の認定や変更、期間の更新などの在留審査手続、在留カードの交付、住居地や氏名などの変更の届出、在留資格の取消し、不法入国や不法残留に対する処分は、入管法に基づいて行われています。
所管官庁は法務省出入国在留管理庁です。

在留資格とは

在留資格は、外国人が日本に入国し、在留して行うことができる活動について、身分や地位を法律上明らかにしたものです。
日本に在留している外国人は、在日米軍人・軍属などの一部例外を除いて、いずれかの在留資格を有しています。
分類の枠組みとして、就労可能資格(いわゆる就労ビザ)と就労不能資格に分かれます。

就労可能資格のうち、永住者や日本人の配偶者等の身分に基づく在留資格は就労制限がありませんので、日本人と同様に様々な職務で就労することができます。
一方、指定される活動に基づいてのみ就労が認められる在留資格は、定められた範囲を超えて就労することができません。
外国人を就労させる雇用主は、この制限を理解しておくことが重要です。
在留資格は、その資格ごとに定められた基準を充足することが必要であり、申請に対して所轄出入国在留管理局が個別に審査の上、諾否が決定されます。
たとえ日本語が堪能で、就労に関する技術や能力が十分であったとしても、個別に定められている基準を満たさない限り在留資格は付与されません。

また、現在日本に在留している外国人が、在留期間更新や在留資格変更を希望する場合には、日本での在留状況も審査の対象となります。
それには、在留することが認めるに足りる相当の理由があるときに許可するとされています。犯罪歴や公的義務の不履行など、素行不良と判断される場合には、申請が拒否されることがあります。
外国人材受入のためには、これらの資格該当性や基準適合性の理解、申請人である外国人材の在留状況の把握が重要なポイントになります。

「働くことができる在留資格」と「働くことができない在留資格」

雇用主は、就労可能な在留資格を持たない外国人を雇用することや、定められた在留資格の範囲を超えて就労させると、不法就労助長罪に該当する可能性があります。
すでに日本に在留している外国人を雇用する場合は、現在有している在留資格の種類を確認し、自社の業務で就労することが可能か確認することが必要です。 在留資格の種類は、「在留カード」で行います。
また、海外から新たに呼び寄せる場合は、学歴や実務経験など、在留資格の基準を満たしているかを確認しましょう。

働くことができる

就労資格

その在留資格に応じた仕事しかできない

  • 外交
  • 研究
  • 報道
  • 教授
  • 公用
  • 教育
  • 高度専門職
  • 技能
  • 経営・管理
  • 技術・人文知識・国際業務
  • 法律・会計業務
  • 芸術
  • 宗教
  • 医療
  • 介護
  • 企業内転勤
  • 興行
  • 特定技能
  • 技能実習

就労資格

活動に制限がないので日本人と同じようにどのような仕事にも就くことができる

  • 永住者
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者の配偶者等
  • 定住者

特定活動(就労可)

働くことができない

  • 文化活動
  • 留学
  • 短期滞在
  • 研修
  • 家族滞在
  • 特定活動(就労不可)

ただし、資格外活動許可を受けた場合は、一定の範囲内で就労(アルバイト)ができる

在留カード

在留カードは、新規の上陸許可時や在留資格の変更許可、在留期間の更新許可などの在留に係る許可に伴って交付されるものです。
出入国在留管理庁長官が日本に中長期間滞在できる在留資格及び在留期間をもって適法に在留する者であることを証明する「証明書」としての性格を有しています。
外国人は常時在留カードの携帯が義務付けられており、雇用主等が在留カードを預かり保管することは禁じられています。
雇用管理上必要となる場合は写しを保管し、原本は本人に返却しましょう。

在留カード確認のポイント

外国人を雇用する前に、在留カード表面記載の在留資格の種類在留期間就労制限の有無を確認しましょう。
留学生などをアルバイトで雇用する場合には、裏面の「資格外活動許可欄」に許可の表示があるかを確認します。

番号の確認

出入国在留管理庁ホームページの「在留カード等番号失効情報照会」を利用すると、当該番号が失効していないかについて確認できます。

情報の確認

出入国在留管理庁が開発した「在留カード等読取アプリケーション」を利用すると、 在留カード等のICチップ内に保存されている身分事項顔写真等の情報と券面の記載を見比べることができます。

不法就労となるのは主に3つのケース

  1. ① 不法滞在者や被退去強制者が働くケース

    (例) 密入国者や在留期間の切れた人が働いた場合
    強制退去が既に決まっている人が働いた場合

  2. ② 出入国在留管理庁から働く許可を受けていないのに働くケース

    (例)観光等の短期滞在目的で入国した人が働いた場合
    留学生や難民認定申請中の人が許可を受けずに働いた場合

  3. ③ 出入国在留管理庁から認められた○○の範囲を超えて働くケース

    (例)外国料理のコックや語学学校の先生として働くことを認められた人が工場や事務所で単純労働者として働いた場合
    留学生が許可された時間数を超えて働いた場合

不法就労については、事業主も処罰の対象となります。

  1. 不法就労させたり、不法就労をあっせんした人

    「不法就労助長罪」3年以下の懲役または 300万円以下の罰金が科せられます。 (外国人を雇用しようとする際に、当該外国人が不法就労であることを知らなかったとしても、在留カードを確認していない等の過失がある場合には、処罰を免れません。)

  2. 不法就労させたり、不法就労をあっせんした外国人事業主

    強制退去の対象

在留資格認定申請の流れ

  1. STEP01
    書類取り寄せ

    卒業証明書、履歴書、写真、資格・職歴を証する⽂書など

  2. STEP02
    書類作成

    在留資格認定証明書交付申請書、業務内容説明書、財務諸表、雇⽤契約書、採⽤理由書、法⼈登記簿、会社概要等
    ※企業規模等により異なります

  3. STEP03
    申請

    所轄⼊国管理局へ提出(本⼈、企業担当者⼜は代理⼈)

  4. STEP04
    結果通知

    在留資格認定証明書を海外の本⼈へ郵送

  5. STEP05
    査証入国

    海外⽇本公館で査証申請
    発給次第⽇本へ⼊国

特定技能外国人が就労を開始するまでの流れ

外国人本人の要件

  • 18歳以上であること
  • 技能試験及び日本語試験に合格していること(技能実習2号を良好に修了した外国人は免除)
  • 特定技能1号で通算5年以上在留していないこと
  • 保証金を徴収されていないこと又は違約金を定める契約を締結していないこと
  • 自らが負担する費用がある場合、内容を十分に理解していることなど

流れ

  1. STEP01
    (外国人が)試験に合格又は技能実習2号を修了
    技能実習2号を良好に修了した方であれば帰国済みであっても試験は免除されます
  2. STEP02
    特定技能外国人と雇用契約を結ぶ

    海外から来日する外国人を採用するケース

    • 在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請前に実施してください

    海外から来日する外国人を採用するケース

    • 受入れ機関等による事前ガイダンス等
    • 健康診断

    ※登録支援機関と委託契約の締結

  3. STEP03
    特定技能外国人の支援計画を策定する
  4. STEP04
    在留資格変更許可申請を地方出入国在留管理局へ行う

    企業の支援内容

    事前ガイダンス(母国語等で3時間程度)

  5. STEP05

    海外から来日する外国人を採用するケース

    • 「特定技能1号」へ在留資格変更

    海外から来日する外国人を採用するケース

    • 在留資格認定証明書受領
    • 在外公館に査証(ビザ)申請
    • 査証(ビザ)受領
    • 入国

    企業の支援内容

    • 出入国する際の送迎
    • 住居確保・生活に必要な契約支援
    • 生活オリエンテーション(母国語等で8時間程度)
    • 公的手続等への同行
  6. STEP06
    入社・入社後

    企業の支援内容

    • 日本語学習機会の提供
    • 相談・苦情への対応
    • 日本人との交流促進
    • 転職支援(人員整理等の場合)
    • 定期的な面談、行政機関への通報

主な在留資格「技術・人文知識・国際業務」

エンジニアやプログラマーなどの技術職、マーケティングや生産管理などの人文知識を要する職務、翻訳・通訳などの国際業務に従事する場合に必要となる在留資格です。
多くの職種がこの「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の対象になりますが、それぞれの職種で個別に審査のうえ許可されています。
例えば、通訳者として「技術・人文知識・国際業務」の在留資格が付与された者が、エンジニアや生産管理の職務に従事することはできません。
また、清掃や土木作業などの単純労働とされる職務には許可されません。

分野:技術

持っている知識・能力 理系の知識
具体的職種例 システムエンジニア、設計、生産技術など
  • 技術開発
  • 電気系エンジニア
  • 建築技術者 など

※単純労働とされている職務には従事できません

要件

以下のいずれかに該当すること

  1. 業務と関連する科⽬を専攻して⼤学を卒業
  2. 業務と関連する科⽬を専攻して⽇本の専修学校専⾨課程修了
    ※専⾨⼠の称号が必要
  3. 10年以上の実務経験

※ 情報処理系の技術者は特定の資格や試験合格で在留資格を認める特例あり
例)ITストラジスト試験、情報処理技術者認定試験など約60種

※同職種の⽇本⼈と同等額以上の報酬

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要である

分野:人文知識

持っている知識・能力 文系の知識
具体的職種例 経理、マーケティング、企画、生産管理など
  • 品質管理
  • 企画 など

※単純労働とされている職務には従事できません

要件

以下のいずれかに該当すること

  1. 業務と関連する科⽬を専攻して⼤学を卒業
  2. 業務と関連する科⽬を専攻して⽇本の専修学校専⾨課程修了
    ※専⾨⼠の称号が必要
  3. 10年以上の実務経験

※同職種の⽇本⼈と同等額以上の報酬

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要である

分野:国際業務

持っている知識・能力 外国人特有の知識
具体的職種例 翻訳、通訳、語学学校の講師など
  • 語学学校講師
  • ホテルフロント、コンシェルジュ
  • 海外の取引業務 など

※単純労働とされている職務には従事できません

要件

以下の全てに該当すること

  1. 翻訳、通訳、語学指導、広報、宣伝⼜は海外取引業務、服飾もしくは室内装飾デザイン、商品開発その他これらに類する業務
  2. 3年以上の実務経験
  3. 10年以上の実務経験(⼤卒者が翻訳、通訳又は語学指導を行う場合不問)

※同職種の⽇本⼈と同等額以上の報酬

日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが必要である

主な在留資格「特定技能」

人材確保が困難な一部の産業分野における人手不足に対応することを目的として、2019年4月、在留資格「特定技能1号・2号」が創設されました。 飲食業や建設業、介護など12の産業分野で受け入れが進んでいます。
特定技能1号は1年を超えない期間ごとの更新で、上限は5年です。特定技能1号から特定技能2号への変更が許可されると、家族の帯同が認められるほか、更新の上限がなくなる点で大きな違いがあります。 2023年8月省令改正により(注)、特定技能1号の産業分野のうち、介護以外の全産業分野において特定技能2号での受入れが可能となりました。

注:本取扱は、2023年8月31日、出入国管理及び難民認定法別表第一の二の表の特定技能の項の下欄に規定する産業上の分野を定める省令等が改正・施行されたことにより、同日から開始されています。

出典:出入国在留管理庁「特定技能2号の対象分野の追加について」を基に作成

  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 宿泊業
  • ビルクリーニング業
  • 介護業
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 航空業
  • 建設業
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備業
  • 漁業
  • 農業

特定技能1号

特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。

在留期間 1年を超えない範囲内で法務大臣が個々に指定する期間ごとの更新、通算で上限5年まで
技能水準 試験等で確認
(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
日本語能力水準 生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認
(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除)
家族の帯同 基本的に認めない
受入機関または
登録支援機関による支援
支援の対象
(支援の実施が求められている)
受け入れ分野
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 宿泊業
  • ビルクリーニング業
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 航空業
  • 建設業
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備業
  • 漁業
  • 農業
  • 介護業

特定技能2号

特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。

在留期間 3年、1年又は6か月ごとの更新
技能水準 試験等で確認
日本語能力水準 試験等での確認は不要
家族の帯同 要件を満たせば可能(配偶者、子)
受入機関または
登録支援機関による支援
支援の対象外
受け入れ分野
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
  • 宿泊業
  • ビルクリーニング業
  • 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業
  • 航空業
  • 建設業
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備業
  • 漁業
  • 農業

※現行の専門的・技術的分野の在留資格「介護」があることから、特定技能2号の対象分野とはしていません。

出典:出入国在留管理庁「特定技能制度」を基に作成

主な在留資格「技能実習」

外国人技能実習制度は、我が国で培われた技能、技術又は知識を開発途上地域等へ移転することによって、当該地域等の経済発展を担う「人づくり」に寄与すること(国際貢献)を目的として1993年に創設された制度です。
2017年、「外国人の技能実習の適正な実務及び技能実習生の保護に関する法律(技能実習法)」が施行され、新たな技能実習制度がスタートしました。

技能実習生受入れの方式

受け入れる方式には、企業単独型と団体監理型の2つのタイプがあります。
2021年末では企業単独型の受入れが1.4%、団体監理型の受入れが98.6%(技能実習での在留者数ベース)となっています。

  • 企業単独型

    日本の企業等(実習実施者)が海外の現地法人、合弁企業や取引先企業の職員を受け入れて技能実習を実施する方式
  • 団体監理型

    事業協同組合や商工会等の営利を目的としない団体(監理団体)が技能実習生を受け入れ、傘下の企業等(実習実施者)で技能実習を実施する方式

技能実習の要件

  • 18歳以上であること。
  • 制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者であること。
  • 帰国後、習得等をした技能等を要する業務に従事することが予定されていること。
  • 企業単独型技能実習の場合にあっては、申請者の外国にある事業所又は申請者の密接な関係を有する外国の機関の事業所の常勤の職員であり、かつ、当該事業所から転勤し、又は出向する者であること。
  • 団体監理型技能実習の場合にあっては、従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること又は技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること。
  • 団体監理型技能実習の場合にあっては、本国の公的機関から推薦を受けて技能実習を行おうとする者であること。
  • 同じ技能実習の段階に係る技能実習を過去に行ったことがないこと。
  • 欠格事由に該当しないこと。

採用の流れ

  1. 監理団体に加入する(団体監理型のみ)
  2. 人材募集 面接を行い採用者を決める
  3. 入国前の講習(4-5ヶ月)
  4. 技能実習計画を作成する
  5. 技能実習生の在留資格を申請する
  6. 入国後講習を行う(1ヶ月)
  7. 実習開始

今後の技能実習制度について

厳しい職場環境に置かれた技能実習生の失踪が相次ぎ、人権侵害の指摘があるとして、 2024年2月9日、国では技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」を設けるとした方針を決定しました。

主なポイント

  1. 新制度の目的「国際貢献」から「外国人材の確保と育成」に変更
  2. 名称「技能実習制度」から「育成就労制度」へ変更
  3. 基本的に3年で一定の専門性や技能をもつ水準に育成する
  4. 特定技能への移行する条件は技能と日本語の試験に合格すること
  5. これまで原則できなかった転籍は一年以上働いたうえで一定の技能と日本語能力があれば、同じ分野であれば認められる

今後は実習生、受入企業の双方にとって理解ある制度になることを期待したいです。

※新制度施行後も、見直しにより現行の技能実習制度利用者に混乱が生じないよう、一定期間継続することとされています。

技能実習と特定技能を比較

技能実習(団体監理型) 特定技能(1号)
在留期間 ・技能実習1号:1年以内
・技能実習2号:2年以内
・技能実習3号:2年以内
(合計で最長5年)
通算5年
技能水準 なし 相当程度の知識又は経験が必要
入国時の試験 なし
(介護分野の場合、 日本語能力試験N4レベルの要件あり)
技能水準、日本語能力水準を試験等で確認
(技能実習2号を良好に修了したものは試験等免除)
送出機関 外国政府の推薦又は認定を受けた機関 なし
監理団体(生活支援) なし あり
(個人又は団体が受入れ機関からの委託を受けて 特定技能外国人に住居の確保その他の支援を行う)
外国人と受入れ機関のマッチング 通常監理団体と送出機関を通して行われる 受入れ機関が直接海外で採用活動を行い又は国内外のあっせん機関等を通じて採用することが可能
受入人数 常勤職員の総数に応じた人数枠あり 人数枠なし
(介護分野、建設分野を除く)
活動内容 技能実習計画に基づいて、講習を受け、技能等に係る業務に従事する活動(1号)
技能実習計画に基づいて技能を要する業務に従事する活動(2号、3号)
相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動
転籍・転職 原則不可。
実習実施者の倒産等やむを得ない場合 や2号から3号への移行時は転籍可能
同一の業務区分内又は試験によりその技能水準の共通性が確認されている業務区分間において転職可能

外国人採用から雇用までの流れ

採用計画をたてる

人材不足だから、グローバル化の流れに遅れないようにと外国人採用の目的がなく安易な気持ちで外国人を採用すると、定着、育成面で失敗することがあります。
まずは、外国人を雇用する目的を明確にしましょう。次に任せたい業務内容、必要なスキル等を整理し求人票を作成しましょう。

人材を集める(求人募集)

県内・県外・海外どこから人材を開拓するか、雇用したい人材や在留資格の種類等により募集方法は異なります。主な募集方法です。

募集方法 費用イメージ
大学や専門学校、日本語学校へ求人を掲載してもらう 無料
合同企業説明会
入国管理局や県、自治体が主催の合同企業説明会には専門学校や大学に通う留学生が訪れる。
無料・有料
インターンシップ
留学生の中には日本企業でインターンシップを希望する者がいる。インターンシップから雇用に繋がるケースもある。大学独自で主催するインターンシップもある。
無料・有料
海外で開催される合同企業説明会
出展料や移動費がかかるが、多くの外国人と直接、対話ができる、その場で面接できる説明会もある。本格的に募集をかけたい、複数名を採用する際は海外に出向く。
有料
ハローワーク・外国人雇用サービスセンター
無料で掲載できる。外国人向け合同企業説明会など開催される。
無料
自社HPやSNS
自社の採用ページを作り、求人を掲載する。コストがかからず、会社の魅力が伝わりやすい。
SNSは応募者と直接やりとりすることができる。
無料
求人サイト
外国人に特化した求人サイトも増えてきた。多くが有料なので、事前にコストを調べたほうがよい。
有料
人材紹介会社
コストはかかるが欲しい人材を紹介してもらえる。人材紹介会社へ依頼する際は、雇用したい人材の特徴を伝え、紹介料金など見積書をもらう。なるべく複数の会社へ問い合わせ比較する。
有料

選考(履歴書・面接)

書類選考と同時に在留カードを確認しましょう。
技術・人文知識・国際業務での就労の場合、大学や専門学校の専攻科目と業務内容の関連性を見るため、履歴書で学歴や職歴を確認します。学科や卒業時期など不明な点は面接で確認しましょう。

内定

内定の伝え方は対面や電話、オンラインなど口頭による通知とメールや文書で内定通知書を送る方法があります。
気を付けたいのは口頭で「一緒に働けるのを楽しみにしています」「早く日本にきてくださいね」など曖昧な言葉で伝えると、本人に伝わらないことがありますので、なるべく口頭と文書両方で伝えましょう。
次に、雇用条件通知書を作成します。できれば、英語や母国語で翻訳し、口頭で説明しましょう。

在留資格の申請・変更

例えば、留学生を採用した場合は「留学」から「就労可能な在留資格」へ変更が必要です。
海外から採用する場合、特定技能1号など在留資格の種類により、申請方法が違いますので、入国管理局や行政書士へ相談しましょう。
申請期間は1~3ヶ月、特定技能や技能実習などはそれ以上時間がかかることがありますので、入社時期にあわせて早めに申請しましょう。

外国人材育成・生活面について

育成面でのポイント

  • 職場のルールや服装、礼儀、ビジネスマナーなど意味を教えながら説明する

    写真やイラストで教えると伝わりやすいです。
    日本人にとって当たり前のことでも、外国人には難しいことばかりです。
    間違えたときは、どうして違うか理由を教えましょう。

  • 普段から日本語で会話をする

    外国人社員にとって、同僚や上司と良い人間関係を築くけるかことができるかは大きな不安材料です。
    指導担当者だけでなく、社員みんなが話しかけをすると、自然と日本語の会話力が身につき、職場に馴染めるようになります。

  • メンタル面でのサポート、定期的な面談を行う

    入社当初は仕事や生活面で分からないことばかり。海外からの人材を採用する際は、特に配慮が必要です。面談の際は母国語で話せる先輩社員または通訳者が同席すると話しやすくなります。
    何か心配ごと、分からないことはないか、睡眠や食事はきちんととっているかなど確認しましょう。外国人材に何か変化があったとき、早く気付けるよう日頃から相談しやすい環境をつくっておくことが大事です。

  • 責任ある仕事を与える、処遇の工夫、成果をだしたら評価する、評価基準を設ける

  • ロールモデルを育成する

    人は「私も、あの先輩のようになりたい」など、目標となる人が現れると、向上心がでます。同じ外国人社員のロールモデルがいることは定着にもつながります。

  • 将来のキャリアプランを確認する

    3ヶ月に1回は、本人、企業側双方で仕事の振り返り(定期面談)を行い、少なくとも半年に1回は将来ビジョンを共有しましょう。

生活面でのポイント

  • 住居は企業または雇用主が物件を契約し、社宅や寮として提供する

    外国人が就職する際、最初に直面するのが住居問題です。アパートを借りたくても、生活習慣の違いから賃貸を断られるケースや連帯保証人が見つからないのが現状です。
    外国人にとって住居があることは仕事を探す上で重要です。家賃は給与から天引きすると家賃滞納の心配もありません。住環境を整えることで、安心して働くことができます。

  • 社宅や寮を提供する際は、下記を教えましょう

    • あいさつ

      日本ではご近所さんとすれ違うとき「おはようございます」「こんにちは」の挨拶をしますが、挨拶の習慣がない国もあります。
      引っ越しの際や社内研修で「挨拶をする習慣があること」「どの場面で挨拶するのか」を丁寧に教えましょう。

    • ゴミの分別や出し方

      曜日によって出すゴミが違うこと、燃える、燃えないゴミの捨て方を教えましょう。
      慣れるまでは実際にできているか、定期的に確認すると退去時のトラブルがなくなります。

    • 騒音

      部屋で騒ぐこと、足音、音楽、夜中の洗濯機の音などは迷惑になることを教えましょう。

  • 異文化理解

    外国人社員とスムーズにコミュニケーションをとるためには、宗教への理解、受け入れる姿勢をもつことです。
    例えば、宗教によって、食に対する禁止事項もそれぞれ違います。基本的には本人が食事の際に食べてよいか、よくないかを判断しますが、周りが知っておくことは大切です。

    宗教 主な国家・地域 食に対する禁止事項
    イスラム教 ・インドネシア
    ・マレーシア
    ・パキスタン
    ・トルコ
    ・バングラデシュ 他
    • 豚肉

      「ブイヨン」「ゼラチン」「肉エキス」「ラード」など豚の肉や骨、油が使われた食材、「ショートニング」もNG

    • アルコール

      >飲用以外にも、「料理酒」「調味料」「みりん」などもNG

    ※宗教上の適切な処理が施されていない肉
    ※食材、料理に付着する血液がついた厨房、調理器具を使うことも禁止されています
    ※国や地域によって異なります

    ヒンドゥー教 ・インド
    ・ネパール 他
    • 牛肉

    ※国や地域によって異なります
    ※一部の教徒は肉全般、五葷を食べていけないこともあります

    仏教 ・タイ
    ・ベトナム
    ・ミャンマー
    ・スリランカ
    ・カンボジア
    ・韓国 他

    ※一部の厳格な仏教徒のみ

    • 肉全般
    • 牛肉
    • 五葷「ニンニク、ニラ、ラッキョウ、玉ねぎ、アサツキ」

    ※同じ宗教でも、信仰の深さによって解釈がそれぞれ違うため、本人に直接確認するという姿勢が重要です。

制度と働き方

技能実習

技能実習制度は、開発途上国の人材が日本の企業等で一定期間「技能を習得」し、その技能を帰国後に母国で活かすことを目的とした制度です。 “人材育成”が趣旨であり、在留資格は「技能実習1号〜3号」に分類されます。

目的 開発途上国等への技能移転
在留期間 最長5年間(1号1年+2号2年+3号2年)※要件あり
対象業種(2025年11月現在) 85職種・156作業(農業・建設・製造・介護など)

就業可能な職種と制限

認められる職種(監理団体の許可が必要)
  • 製造業(機械加工、金属プレス、溶接 など)
  • 農業(耕種・畜産)
  • 建設(型枠施工、鉄筋施工 など)
  • 介護(日本語能力要件あり)
制限・留意点
  • 職種・作業は事前に登録された範囲に限定
  • 実習計画に沿った内容以外の業務従事は不可
  • 途中での転職は原則不可(不適切な事業所変更を除く)
  • 企業は監理団体との契約が必須

企業側が留意すべきポイント

  • 技能実習生は「教育対象者」であり、戦力化には教育体制が不可欠
  • 受け入れ人数枠あり(常勤職員数に応じた制限)
  • 入国・滞在中の支援体制の整備義務(生活支援、日本語教育など)
  • 原則3年、要件を満たせば5年まで延長可能(技能検定合格などが条件)
  • 技能実習から特定技能への移行も可能

特定技能

特定技能制度は、日本の人手不足分野に即戦力として外国人材を受け入れる制度で、「技能実習」の次のステップとしても注目されています。
在留資格「特定技能1号・2号」があり、1号は即戦力、2号は熟練人材向けです。

目的 日本国内の人手不足分野への対応
在留期間 1号は最長5年/2号は更新制で長期在留・家族帯同も可
対象業種(2025年11月現在) 12分野(外食、介護、建設、農業など)

就業可能な職種と制限

認められる分野(特定技能所属機関との直接契約)
  • 外食業(調理、接客など)
  • 介護(介護福祉士補助業務)
  • 建設(型枠、鉄筋、左官 など)
  • 宿泊(フロント、客室清掃など)
  • 製造(産業機械製造業、電気電子情報関連産業など)
制限・留意点
  • 分野ごとに試験合格・日本語能力(N4程度)などの条件あり
  • 受け入れ企業に対し「支援計画の実施」が義務付けられる
  • 1号は転職可だが、同一分野内に限られる
  • 2号は建設・造船など一部分野に限られ、熟練技能の証明が必要

企業側が留意すべきポイント

  • 支援計画の実施(入国時支援、生活支援、相談対応など)が義務(登録支援機関に委託可能)
  • 雇用条件は日本人と同等以上
  • 試験合格者または技能実習修了者のみ受入可能
  • 1号は在留期間5年まで(延長不可)/2号で永続的在留が可能

資格外活動(アルバイト)

日本の大学や専門学校等に在籍する外国人留学生が、学業を妨げない範囲でアルバイトができる制度です。資格外活動許可を受けることで、在学中の就業が可能になります。

目的 生活費の補助、就業体験
在留資格 留学(資格外活動の許可要)
就業可能時間 週28時間以内(長期休暇中は1日8時間まで)

就業可能な職種と制限

就業が認められる例
  • 飲食店(ホール、キッチン)
  • 小売店(コンビニ、ドラッグストア)
  • 清掃、軽作業
  • 翻訳・通訳業務
  • IT・事務補助(適正な範囲で)
就業が認められない例
  • 風俗営業、接待を伴う業務
  • 留学ビザでのフルタイム就労
  • 正社員登用・長期契約前提の業務

企業側が留意すべきポイント

  • 必ず「資格外活動許可」があるかを在留カード・パスポートで確認
  • 就労時間の管理(週28時間)を徹底(複数店舗掛け持ちも含む)
  • 学業優先の配慮(深夜帯の勤務、シフト時間に注意)
  • 雇用契約書の交付(労働条件通知書など)
  • 長期雇用はできない(卒業後は別在留資格への変更が必要)

特定活動(ワーキングホリデー)

ワーキングホリデー制度は、日本と協定を結んだ国の若者(通常18歳〜30歳程度)に対し、日本で 休暇を主たる目的としつつ、一定の範囲で就労を認める制度です。 在留資格は「特定活動」として認められます。

目的 日本文化の理解、日常生活体験
対象者 18歳以上30歳以下(国により異なる)
在留期間 原則1年間
対象国(2025年11月現在) 韓国、オーストラリア、カナダ、ドイツ、フランス、イギリス、台湾、香港 など30ヵ国以上

就業可能な職種と制限

就業が認められる例(主にアルバイト)
  • 飲食店(キッチン、ホールスタッフ)
  • 小売店(コンビニ、スーパー、アパレル)
  • 農業や漁業の季節労働
  • 宿泊施設(ホテル・旅館での接客や清掃など)
  • 工場内軽作業
  • 英会話教室などでの語学指導(出身国の言語に限る)

※就労先が日本国内の法律(労働基準法など)に違反していないことが前提です。

就業が認められない例(制限事項)
  • 風俗営業や接待を伴う業種(キャバクラ・パチンコ店など)
  • 医療・福祉分野など国家資格が必要な業務
  • 正社員や長期契約を前提とした就職(滞在の目的が「就労」となるため)
  • 単なる「労働力の確保」を目的とした雇用(制度の趣旨に反する)

企業側が留意すべきポイント

  • 就労の目的が“生活費の補填”であることを確認
    →ワーホリビザは“休暇が主目的”のため、長期雇用やフルタイム就労の前提はNGです。
  • 在留カードの「指定書」内容を確認
    →特定活動の中でも、個別に活動制限が記載されている場合があります。
  • 社会保険の加入義務の有無の確認
    →労働時間・雇用期間に応じて、日本人と同様に適用されます。
  • 雇用契約書の整備
    →アルバイト等であっても、労働条件通知書または雇用契約書の発行が必要です。
  • 制度上の限界を理解し、将来的な戦力としては捉えない
    →ワーキングホリデーはあくまで「一時的な滞在」であり、原則延長不可のため、長期雇用は見込めません。
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